アミューズメントワーク

企業で働く人たちの仕事上の悩みを分析し、解決策を一緒に考えます。

コスト削減プロジェクト

言われてみると当たり前のように思われますが、目標の設定(掲げ方)で取組みが変わってくるケースがあります。注意した方が良いですね。(館長)

私が工場長になった頃に、自社製品に対する顧客からの値下げ要請が厳しくなり、それまであまり手が付けられていなかった材料コストの削減を実施することになりました。私は営業部門からの要請を受けて削減目標を設定し、調達部門に指示を出しました。1ヶ月経って進捗を確認したら、「今、各業者からの購入金額を分析しています。もう少し待ってください。」という返事が返ってきました。確かに必要なプロセスだとは思いますが、結局分析とプランニングに3か月を要し、目標達成は出来ませんでした。
例えば削減目標を10%とすると、最初の3か月間は従来の価格で購入しているので、もし4ヶ月目から仕入れ価格を10%削減出来たとしても、年間では7.5%しか削減することは出来ません。年間の目標を達成するためには、4ヶ月目以降は約13.3%削減しなければなりません。
売上目標の場合(例えば年間1億2千万円とすると)、毎月1千万円ずつ売上れば良い訳ですが、11ヶ月間売上が無かったとしても、最終月に1億2千万円の大型案件を売上れば目標は達成します。ところが材料費削減の場合(例えば年間1億2千万円の材料費の10%=1千2百万円削減が目標とすると)、毎月平均1千万円ずつ購入しているので、最終月にまとめて削減しようとすると月間購入金額以上の削減が必要になってしまいます。
前述のケースにおいてはコスト削減の取組が、年間の総購入費用の10%削減ではなく、購入単価の10%削減になってしまっている訳です。コスト削減に限らず日常的な業務の効率化においても、成果が実益に結びつかないことがありますが、原因はここにあると考えます。やるべきことを正確に理解し、時間軸を常に意識した取組みが出来ているか、改めて見直してみてください。