アミューズメントワーク

企業で働く人たちの仕事上の悩みを分析し、解決策を一緒に考えます。

ブレイクタイム(初めてのヘッドハンティング)

私が新卒入社して5~6年目の頃(ワープロが世の中に普及し始めた時代)、本社で営業の仕事をやっていたある日、突然英語で電話が掛かってきました。当時私のTOEICの点数は400点少々だったと記憶していますが、電話の内容がいわゆるヘッドハンティングだということは何とか理解出来ました。
同社での私は入社2年目で新規事業分野の設備設計施工のプロジェクトを任され(社内に経験者がいなかった)、業界的にも数少ない経験者だということは自分でも認識していました。当然私の経験に興味を持った同業界からのオファーだと思い込んで、約束の当日、面談場所の怪しげなマンションの一室に行くと、外国人のヘッドハンターからは「外資系製造装置メーカーのエンジニア」のオファーだと伝えられました。要するに私の業務経歴ではなく、大学の専攻(機械工学)だけを見てコンタクトしてきたのは明らかでした。
確かに給与は高いし、年功序列もなく実力主義というのは惹かれるところではありました。しかしオファーが“自分の業務経歴を評価してくれている誰か”からではなかったことに「カチン」ときて、日常的に仕事や会社に対する不満ばかりを愚痴っていた私が、気が付くと今の会社の良いところ、仕事のやりがいについて、ヘタクソな英語で語り始めていました。
人生初めてのヘッドハンティングは、自分にとっての現状を見つめ直す良い機会であったと同時に「なるほど今の会社も悪くない」と思えた初めての体験でした。