アミューズメントワーク

企業で働く人たちの仕事上の悩みを分析し、解決策を一緒に考えます。

ブレイクタイム(論語で助かった)

だいぶ前の話になりますが、私が役員になりたての頃にエグゼクティブセミナーという5泊6日の外部研修に参加させられました。参加者は大手企業の役員の方が大半で、その研修は事前に古典(旧約聖書、般若心経、ダーウィンの進化論、ダンテの神曲奥の細道学問のすすめ等々)の一節を読んで、自分の感じたことを発表して参加者で議論をし合うという、理系出身で本も読まない私にとっては地獄のような研修でした。参加者だけだと議論にならないので、予めファシリテーターと称する哲学者や大学教授が数名参加しいて、解説をしてくれたり、議論が変な方向にいかないように調整してくれたりします。仕事の忙しさを理由に予習を全くやっていなかった私が、初めて目にする古典の内容について発言など出来るわけないし、まして大手企業の役員の方々や偉い先生方の前では黙っているだけでも苦痛でした。
その古典の中に論語の一節(前回記載した「学びて…」)が登場しました。私は意を決して「これは今の時代には合わない!」と発言しました。「会社ではOJT(On the Job Training=やりながら覚える)が主流で、学んでる時間など無い」という主張です。休憩時間になると、孔子にケンカを売った私はファシリテーターの先生方に囲まれました。何を言われるかと青ざめていたら「確かに、君の言うことは正しい」と、想定していない賛同を複数の先生から得られたんです。それまでの苦痛が一気に快感に変わった瞬間でした。
おそらく窮地に追い込まれた自分は、何か発言しないとマズいと思って、一番短かった論語の一節を真剣に読んだ結果だと思います。まさに“窮すれば通ず”ですね。おっと、これも古代中国書物の易経に記載されている諺でした。