アミューズメントワーク

企業で働く人たちの仕事上の悩みを分析し、解決策を一緒に考えます。

制約の理論

私もこの本を2001年の出版直後に読みました。かなり分厚い本でしたが、物語になっていたので何とか最後まで読み切ることが出来ました。(館長)

 

制約の理論とは、いくつかの工程を経て完結する製品やサービスにおいて、ボトルネック(最も効率が悪く、時間が掛かる)工程が全体の効率を決めてしまうという理屈です。2001年に「ザ・ゴール」という小説が日本で出版されましたが、本来専門書等で解説される理論をストーリーの中で分かり易く説明していることで話題になりました。(日本でも68万部を超えるベストセラーになっています。)

もう少し制約の理論を説明します。添付の図は、ある製品を作るプロセスで4つの工程があります。それぞれの工程毎に1日当りに処理出来る個数を記載しています。さてこの製品は1日当りいくつ生産されるでしょうか?

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正解は20個ですね。紫色の工程がボトルネックになっていて、ここの生産能力が全体の生産能力になってしまいます。というのが制約の理論です。このボトルネック工程を見つけ出して改善しない限り成果は出ません。最終工程(ピンク)が50個/日を60個/日に増やしたとしても、前の工程(紫)から20個/日しか流れてこないので意味がありませんね。要するに部分最適ではなく、全体最適を考える必要があるということです。

実は「ザ・ゴール」の著者は、イスラエル人のエリヤフ・ゴールドラットという物理学者で、1984年に出版されていたのですが、日本語版の出版は2001年まで許可されませんでした。当時の日本企業は国際競争力が高く、著者は貿易の不均衡を是正する目的で日本での出版を遅らせようと考えたそうです。日本語版の出版からさらに20年近くが経過しようとしていますが、さすがに部分最適にリソースを注ぎ込んで、未だに成果に結びつけられない会社なんてありませんよね。